視覚障がい者の方へ
JBFAにとって、視覚障がい者の方たちとともに働くことには特別な意味があります。
JBFAの思いや仕事内容、雇用のあり方などについてまとめました。
■はじめに
JBFAの採用情報にアクセスいただき、ありがとうございます。
JBFAにおいて、視覚障がいのある方は特別な意味があります。それは、病院にドクターが必要なように、私たちの活動には、視覚障がい者が必要ということです。
お読みの方には、矛盾を感じる方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、視覚障がい者と健常者が混ざり合う社会を目指しておきながら、こうして採用や働く際に、その特徴を生かしていくべく、“区別”をしているからです。
その理由の一つに、現在の社会ではまだまだ障がい者は働きにくいという現実があります。見えることを前提に築かれた社会ゆえ、皆さんの能力が発揮しにくいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。私たちは、その状態は、見えにくい・見えない状態がある皆さん自身ではなく、皆さんを見る大勢のまなざしや、社会のあり方に課題があると考えます。その課題にサッカーというスポーツを通じてアタックしていく上では、皆さんが「視覚障がい者であること」を力として活用していくことが必要な段階にあると考えています。
それは、病院にドクターが必要、レストランに調理人が必要なことと同じようなことと、私たちは考えています。皆さんの見えない・見えにくい状態を、JBFAでは特徴として活かし、活躍してほしいのです。
■視覚障がい者を取り巻く雇用環境について
さまざまな障がいのなかでも、視覚障がい者は雇用主から雇用が難しいと思われている障がいの一つです。それは、視覚障がい者の人数が少ないことや、見えない・見えにくいことの情報保障が依然として難しいと思われているからです。私たちも、日常的に企業の採用担当者とお会いしますが、パソコンで文書を読み上げられることを知らない人たちがまだまだ多数な状況なのです。
また、歴史的に三療と呼ばれる鍼灸、マッサージ等の業務に携わる就業の道筋が、政策や支援の制度として推進されてきました。その結果、現在でも働く視覚障がい者の3割とも多くは6割ともいわれる程度の人が、三療に関わる仕事に就いていると言われています。このような支援制度があること自体はとても大切なことだと私たちも思っていますが、同時に、雇用主から「視覚障がい者=マッサージ業務」というステレオタイプでくくられがちなことは新しい課題と言えます。
「情報障がい」とも言われ、印刷された文字へのアクセシビリティがはるかに担保されていなかったのもつい最近までのことです。ですが、パソコンの読み上げソフトの進化、iPhoneをはじめとするスマートフォンによる利便性の向上により、情報へのアクセスやみずからの情報発信の手段は多様化し、発展しているのも確かです。
私たちJBFAでは、本人が望むうえでの三療の仕事に就く方と、そのようなキャリアしか選択肢がないと思っていたという視覚障がい者を数多く知っています。外部環境が大きく変わるなか、職業の選択肢は広がるはずですが、雇用主にも、視覚障がい者にも、その幅を広げるうえでの課題があると考えています。それらの解決と進歩には、双方がお互いに密に連携しながら環境を変えていく必要があります。ただ、これは一人ひとりの個人が「雇用されている身」で行っていくには、限界があります。そこで、JBFAでは取引先企業などと連携し、新しい職域へのチャレンジや制度の支援、視覚障がい者の学びの機会の向上などに取り組んでいます。JBFAで働くとは、与えられた職種で働くを超え、新しいチャレンジやその支援を含んでいることも知ってほしいです。
■JBFAでの“現在の”主な業務
JBFAでは、延べ8名の視覚障がい者が働きました。雇用関係になくとも、業務委託や派遣業務で私たちの事業に関わる人たちもたくさんいます。その人たちの多くが携わっている業務は「ファシリテーター」と呼ばれるもので、一般の学校や企業に、体験型の研修を届ける講師業です。
視覚障がい者の働く環境が変わっていくなか、なぜ私たちはファシリテーターを重要視しているのか?
ひとつは、この業務には働く上で学ぶべきことが多く詰まっているからです。たとえば新入社員が営業系の職種に就き、社会人としてまず必要な基本的スキルの習得や、お客様と直接接点をもつことでビジネスの理解を深めていく、その上で、さまざまな職種に転じる方法があります。JBFAにとってのファシリテーターとは、私たちの主要なお客様である学校や自治体、企業との接点がある職種であり、お客様を知ることが期待されます。また、子どもたちや社会人にある種プレゼンテーションをすることで、表現力や説明力などの伝える力、そのための考える力を養うことができます。
実際に、ファシリーテーターからはじまり、自治体との連携業務に携わったり、営業的な業務に携わったりする視覚障がい者が現れており、今後さらに幅のある職務にチャレンジしてくれることが期待されています。
ふたつめの視覚障がい者がファシリテーターを担う大切な理由は、当事者の視点で、障がいを取り巻く環境やその理解について啓発をしてもらうことが大切だと考えているからです。体験学習は、「スポーツとしてのブラインドサッカーやロービジョンフットサルを知ってもらえればよい」というスポーツの啓発にとどまらず、JBFAのビジョンである「サッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が混ざり合う社会を築く」ための活動でもあります。
では、サッカーをプレーしない視覚障がい者は働くことができるのでしょうか?
これらの業務はサッカーを本格的にプレーしない視覚障がい者も担っています。ファシリテーションでは一部業務として身につけてほしいサッカーのテクニックはあります。それは、マッサージをするうえで必要な能力を獲得したり、システムエンジニアがあるコンピュータ言語を習得したりするのと同様、特定職種の遂行に必要なスキルと考えているからです。サッカー選手としてエリートである必要性は必ずしもありません。
■トップアスリートとしてチャレンジしたい方へ
なかには、トップアスリートとしてブラインドサッカー、ロービジョンフットサルを追求している人、追求したい人もいることでしょう。JBFAではそういう意思を持った人も働いています。競技活動も就業時間とみなし、本人のプレーの向上を図ってもらうことと、ファシリテーターの業務の両立は相性が良いと考えています。
トップアスリートでいられ続けるには、ある程度期間があります。トップアスリートを終える段階で、次に何をしよう?と考え始めるのではなく、アスリートであるあなたと働くことを両立し、能力開発をしながら過ごしていくことも大切です。それはどんな働き先でもできることではありませんので、トップアスリートの方にとってもJBFAは選択肢のひとつとなると考えています。
■JBFAからの転職の可能性
JBFAは小さな組織です。競技団体やNPOとしては比較的多くの人が働いていますが、大勢の視覚障がい者を直接雇用できるわけではありません。それに、視覚障がい者の職域を広げ、雇用人数を広げるには、自分たちだけでなんとかできる範囲を超えていく必要があります。
そこで、パートナー企業や取引先を中心に、協力いただける体制を築いてきています。今現在も、パートナー企業であるアクサ生命、トーコン、GAテクノロジーズ、参天製薬、ブラックロック・ジャパンなどでこのスポーツに関わる選手が、トップアスリートであるかとうかに関わらず働いています。なかには、JBFAで働き、基本的な働く力を学び、転職しているケースもあります。雇用する企業にとっても、JBFAとの連携によって、よい人材と出会えると言ってもらえるよう、この循環をより育てていきたいと考えています。視覚障がい者にとっても、まだまだ「隔離された雇用」が多い企業での採用において、安心した働き先の選択肢になると思います。
■エントリーにあたって
JBFAでは以上のような考え方をもって、視覚障がい者の雇用にあたっています。際しては、「今ある能力やこれまでのキャリア」にももちろん目を向けますが、皆さん自身がどんなチャレンジをしたいのか、どんなふうに働きたいのか、もしあなたがサッカーが好きであればサッカーとどんなスタンスで生きていきたいのかーーそれらも勘案しながら採用を進めています。そのため、一般の採用プロセスとは区別をしているのです。
視覚障がい者の採用は、以下のようなプロセスをベースにしています。
- JBFAへの問い合わせ
- JBFAでの働き方について、個別の説明(説明会の場合もあれば、お茶会のようにフランクな場もあります)
- 必要があれば、JBFAで働く視覚障がい者との情報交換会
- 書類応募・書類選考
- 一次面接
- 現場体験(スポ育や大会等の場を体験いただきます)
- 最終面接(場合によって、二次面接があります)
いままで働いたことがない、視覚障がいが進行中で将来いまのような働き方ができるかもわからない、新卒にあたる学生ーーどなたでもお問わせを歓迎します。
まずはお気軽にEメールか電話(03-6908-8907)にて人事担当まで問い合わせくださいませ。
■よくある質問
選考について
Q:雇用形態や勤務形態を教えてください
A:正職員及び契約職員の雇用で募集しています。
Q:障がいの種別によって応募できない場合はありますか?
A:障がいの種別による応募制限は特にありません。障がいの種別による配慮が必要な事項がありましたら、個別の相談の場でお伝えください。
Q:採用に当たって、資格を条件としますか?
A:資格内容や取得は条件にしておりません。
Q:障がい者と健常者とで仕事内容に差はありますか?
A:仕事内容については、障がいの程度を考慮します。その中でチャレンジングな目標を設定し、業務を遂行していただきます。給与や人事評価も、一般の職員と同様に扱われます。
Q:ブラインドサッカーに詳しくないのですが、大丈夫ですか?
A:ブラインドサッカーに詳しくなくても選考に不利ということはありません。 ただし、ブラインドサッカーが世の中に普及することが、どういう意味を持つのか、ということに関心を持っていただきたいです。
Q:ブラインドサッカーのチームに所属していないと応募はできないですか?
A:いいえ、チームに所属していなくても応募は可能です。
入社後について
Q:視覚障がいがありますが、どのような配慮がありますか?
A:視覚障がい者の状況に応じて、業務上必要となる機器等の支援を行っております。
Q:通院が必要な場合、考慮していただけますか?
A:ある程度配慮することは可能です。詳しくは、個別の相談の場でお伝えください。
Q:人事異動はありますか?
A:本人の適性や組織のニーズを踏まえて人事異動は実施しています。
Q:紙媒体の資料はどのようにして確認することができますか?
A:スタッフ(健常者)が代読すること、また、データとして取得しPC上で読み上げソフトを用いて確認します。
Q:仕事をするにあたって、パソコンのスキルはどの程度必要ですか?
A:個々の業務によって必要とされるスキルは異なりますが、パソコンスキルはどの部署でも必要になります。Word・Excel等の基本的な操作はできるほうがよいでしょう。ただし、仕事を通して覚えていくこともできますので、入社後にもスキルアップの機会は十分にあります。
Q:出張や外出はありますか?
A:ファシリテーター職の場合、講演や研修に出向くことが多いため出張や外出が多くなります。その際は、スタッフ(健常者)とペアとなり同行することがほとんどです。
Q:どのような障がいのある方が働いていますか?
A:全盲、弱視の方、様々な視覚障がいのある方が働いています。
Q:会社や会社近隣の環境認知のための歩行訓練を受けることはできますか?
A:はい。リハビリ施設等と連携し、必要に応じて歩行訓練を受けることが可能です。
日本ブラインドサッカー協会
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